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THE LOUNGE LIZARDS [Post Punk / Post Rock]

80年代初頭、EGからミョウチクリンなバンドがアルバム・デビューした。ジャケットに漂うレトロな雰囲気。音の方はと言えば、一曲目冒頭は、大昔のジャズ・コンボが演奏しそうな型にはまった、スパイ映画のテーマソングになりそうなかなり古くさい音。「このまま進行するのか?」と、思いきや。

THE LOUNGE LIZARDS

the lounge lizards.jpg

前触れもなく始まるエレクトリック・ギターの弦をぶっかき回す音。はたしてこれをソロと言ってしまっていいものか?音程も和音もへったくれも無い。このプレイで何を主張したかったのか、全くわからないが、「芸術は爆発だ!」とばかりに弦をどえらい勢いで掻きむしる。音楽的な根拠があるのか、それとも本人にしかわかり得ないような崇高な行為を音楽により実践しているのかも常人の神経では全く不明。

耳をそばだてれば、ソロ(?)パート以外でも、音階を持たないアタック音を中心にバッキングも行っている局面が聴いて取れるが、果たしてアンサンブルに貢献しているかどうかははなはだ疑問。救いがあるとするなら、笑えることと、いつまたあの発作ギターが始まるのかハラハラドキドキな所である。そういう意味ではスリリングであり、そこが『ウリ』なのか?





俺が察するに、この暴虐ギター弾き加入前からThe Lounge Lizardsは、かなり(いい意味で)『変態』なバンドだったのではなかったか、と思う。わざと時代遅れのジャズを演奏し、ひねくれたオルガンのアレンジで色を与える実験的な部分を主張する、それなりに戦略が練られたバンドだったのではないだろうか?

ところがどういう経緯かわからないが、ここに全くギターらしいバッキングもソロも弾けないギタリストが加入。バンドの方向性こそ極端に変わらなかったからよかったようなものの、アンサンブルを破壊するような残虐行為を行う。が、なぜかかEGからのこの作品でレコード・デビュー。その強烈な個性を持った音は、(俺を含む)物好きなリスナーに受け入れられ、パンク・ジャズとも、フェイク・ジャズとも呼ばれた。

実は、このアルバムでギターを弾いているArto Lindsayは、70年代終盤に、DNAなるポスト・パンクなバンドを主催、当時はBrian Enoにかなり気に入れられたようで、Eno主宰のコンピレーション作品にも顔を出している。当時、レーベルとしてのEGはBrian Enoの発言力が強かったようなので、The Lounge Lizardsもその流れのなかでデビューに漕ぎつけられたのではあるまいか?今改めて聴いてみると、意外にもArt BearsやHenly Cowなどと似た『匂い』を感じ取ることが出来る。

しかし、メンバー達はArto Lindsayの無軌道さに我慢がならなかったようで(チューニングすらしていなかったらしい)、程なくクビを宣告。新しい「弾ける」ギタリストを加入させるも意に反し注目度は激落ち。


『あんなでたらめな奴に自分たちの人気が支えられていたなんて』と、本当にやるせない思いでいっぱいだったろうなぁ・・・


The Lounge LizardsをクビになったArto Lindsayは自らの主催でバンドを結成、アンダー・グラウンドなジャズプレイヤー達に活動の場を与えていたらしい。当時の仕事仲間にはJohn Zornもいたらしい。なる程ね。

その後、ソロに転じたArto Lindsayは、どういう意識改革をしたのか、どこかモンド風のひねりの加わったラウンジ・ミュージックとでも言えそうな『お洒落なミュージシャン』に転身。が、アルバムを通して聴いてみると、散発的に、The Lounge Lizardsで実践していたような『痙攣掻きむしりギター』の断片が聴こえることから察するに、あの変態さは自分の芸風にしているんだろうなぁ。


Lounge Lizards

Lounge Lizards

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI Europe Generic
  • 発売日: 1993/10/14
  • メディア: CD



First Strike Still Deadly / Testament [HM/HR]

80年代終盤から90年代初頭にかけて、好んでThrash Metalを聴いていた時期があった。それまでのHeavy Metalのスピード感を極度にデフォルメした過激なアプローチに俺は夢中になり、レコードやCDを買い漁った(丁度音楽メディアの主流がレコードからCDに移行する時期であった)。

が、当時、Thrash Metalの最重要バンドと目されていたMetallicaが『ジョニーは戦場に行った』のオマージュ、Oneでグラミー賞を受賞した1990年あたりから様子がおかしくなってきた。当のMetallicaはマーケット拡大を狙ったのか、それまでの音楽的に過激な部分、即ちスピード感を殺した非常に聴き易いアルバム(通称ブラックアルバム)を発表し、昔からのファンを失望させた。これだけならよかったのだが、なぜかこれがきっかけになったかのように、ほぼ時期を同じくして次々と有望なバンド達から中心メンバーが辞めて行った。ニューヨーク・スラッシュの雄、Anthraxからは説得力のある有能なボーカリスト、Joey Belladonnaが、Overkillからは熱いギターをかき鳴らしていたBobby Gustafsonが、ドイツのThrashを代表するDestructionからは鬼畜系金切り声ボーカルのSchmierがそれぞれ脱退。そしてそれぞれのバンドのメンバーチェンジ後の作品が(個人的には)ことごとく駄作に感じられ、また、丁度この時期にMy Bloody ValentineのLovelessに出会うという個人的大事件があり、俺の興味は急速にShoegazerに傾いていき、それ以降、全くThrash作品を購入することは無くなってしまった。


あれから20年。ふと思った。「あのころ俺が好きだったバンドはどうなったんだろう?」


ネットで検索してみたところ、やはり解散したバンド、様々な連中が出たり入ったりして今やオリジナルメンバーが一人もいないバンド、追跡不能になっているバンドも相当あったが、それでも当時有望株だったバンドの多くは中心メンバーを残し、メジャー・レーベルとの契約は失いながらも地道に頑張っているようだった。

中でも、ベイ・エリアの重要バンド、Testamentが現在でもほとんどメンバーを入れ替えずに、一時脱退していたメンバーも戻ってきて活動している、という事には驚かされた。個人的にはこのバンドはExodusと並んでお気に入りで、レコード、CDは4〜5枚購入して好んで聴いていた。そのTestamentが、俺が最もよく聴いていた初期の2枚、即ち、LegacyとThe New Orderからの選曲でセルフ・リメイク・アルバムを発売していたってことを10年間知らずにいたって事実に気がついたら、もうこれは聴くっきゃないでしょ。

First Strike Still Deadly / Testament

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この作品、前述の通り、セルフ・リメイクである。メンバーはドラム以外は変わっていないようだ。リード・ギタリストのAlex Skolnickは一時脱退し、ジャズに転向していたらしいが、このアルバム製作の為に戻ってきたらしい。あのギタリストはリード・ギターをメロディアスに弾きたい願望が顕著に表れていて、当時から曲の流れを削ぐような展開の進行をバンドに強要していたようなので俺としてはどうでもいいのだが(笑)、まぁ、ザクザクのベイエリア・クランチ丸出しのリズムギターに、Thrashにしてはかなりメロディアスな速弾きギターが乗り、ただのダミ声ではない迫力のあるボーカルが喉を全開にして吠えまくるのがTestamentの『ウリ』なのであって、ある意味、他のバンドとの差別化が出来る個性でもあったことは認めざるを得ない。肝心のこのアルバムの選曲も、ドラマー以外は一回レコーディングした曲ばかりであり、条件は充分に整っているのだからして、これがつまらないなら止めちまえ、というところなのだが・・・






うおおおおおお、これはすげぇんじゃねぇか?


デビュー当時の勢いに任せたアンサンブルは適度に整理されているにもかかわらず、デビュー当時と比較しても遜色の無い勢いのアグレッシブにしてヴァイオレントな真性スラッシュ・メタルの爆裂。録音技術の向上のおかげで重量感が増しており、期待以上の音圧。勿論、スピード感も衰えていない。これは『熱い』ぞ。

相変わらず、Alex Skolnickはペラペラとリード・ギターを弾いているが、それよりもEric Ptersonのリズム・ギターの頑固一徹さには改めて恐れ入った。圧倒的な存在感で禁欲的にザクザクと刻むぶっとい音のベイエリア・クランチは職人芸の域に達している。バンドのリズム感、スピード感はEric Ptersonのギターによるところが大きいと思われる。

どうやらこのアルバム、当時、難病を煩っていたボーカルのChuck Billyが休業に入る前に、バンドの歴史が終わる可能性を考え、記念碑的に製作されたらしい。まぁ、幸いにも手術の結果、病気を克服、現在でも活動しているようなので、感傷的な聴き方をする理由もないのであるが、Chuck Billyも療養生活に入る不安を感じさせないような喉全開の全身全霊ダミ声シャウトを聴かせている。勿論、その破壊力は、様式美(ヘナチョコ)ヘビメタバンド連中が『ウリ』にする流麗なハイトーン・シャウトとは比べるまでもない。はははは。

一曲だけ、聴いた事の無い曲が収録されているが、この曲でボーカルを担当しているのは、どうやらバンド結成当時に在籍し、後にExodusに移籍したSteve Souzaのようだ。この事から察するに、多分、バンド発足当時のレパートリーなのだろう。

ごちゃごちゃとまとまりの無いことを書いたが、Testamentの初期2作品を聴いているスラッシャーは、ぜーったいに聴くべきである。俺自身、若干の悪意を持ちつつ購入したが、飽きる事無く一気に聴き通したのみならず、この作品の発表を10年間も知らなかったことを後悔した。

ちょっと調べてみたところ、近年、Exodusもデビュー作であるBonded By Bloodをフル・リメイク、DestructionもSchmierが復帰し、過去作品をベスト選曲してリメイクしているらしい。MetallicaもRide The Lightningあたりをセルフ・リメイクしてみて欲しいものだ。最近、大御所Lou Reedと製作したジョイント・アルバムを発表したらしいが、根性があるならいい位置に納まってないで昔みたいにとんがってみせろ、などと思う。



First Strike Still Deadly

First Strike Still Deadly

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Prosthetic Records
  • 発売日: 2008/03/18
  • メディア: CD




元ネタとなったアルバムはこっち。これらも素晴らしい。


Legacy

Legacy

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Megaforce / Wea
  • 発売日: 1999/07/28
  • メディア: CD



New Order

New Order

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Megaforce / Wea
  • 発売日: 1999/03/16
  • メディア: CD



 

emusic解約 [日常]

俺は数年前、音楽のダウンロード販売を行っているemusicと契約、ヘビー・ユーザーになった。

俺が契約した頃のemusicは、一曲毎の課金制ではなく、一ヶ月単位でポイントを購入し、曲、アルバムにあわせたポイントを使い切るまで、もしくは一ヶ月が過ぎるまでダウンロードが行える、という画期的なシステムだった。

いや、俺がemusicのヘビー・ユーザーになったのはシステムが画期的だからではない。今まで俺が聴きたくても入手困難な作品を大量に扱っていたからだ。メジャー作品の取り扱いは少なかったが、そもそもメジャー・レーベルの作品の多くは国内でも入手可能だし、Amazonでさえ入手困難なマイナーな海外のインディーズ作品はもとより、メジャー級のアーティストであるにもかかわらずあえてインディーズ・レーベルに留まっていたり、メジャーからドロップしながらもインディーズで良質な作品を発表し続けているアーティストの取り扱いも多く、俺は夢中になった。俺がemusicの会員になって程なく、料金システムの改訂があり、ポイント制から曲単位、(長い曲はアルバム単位)に課金し、月単位の契約金額から減算されていくシステムに変わり、だいぶ『お得感』は減少したが、それでもiTune Music Store等では入手出来ないようなマニアック、かつ探究心を満足させるラインナップには毎月ワクワクしていた。


ところが、だよ。


先月中旬くらいに『新しいemusicを体験しよう!』みたいなメールがあり、「ほう、サイトでもリニューアルしたか」と訪れてみると…

なんなんだよ?このサイト!もう、エラーだらけ。検索しても自分が探しているアーティストに辿り着けない。検索オプションを『音楽関連全般』にし、あるアーティストの紹介で表示されたページのリンクからピックアップ・アルバムを表示、そのアーティストを扱っていることを確認後、表示中のアーティスト名のリンクをクリックすると『取り扱いがありません』の表示。
「そんな馬鹿な。さっきあったじゃねぇか。同一アーティストの作品一覧が表示されなきゃおかしいじゃねぇか」と、今度は検索モードを『アーティスト』にして、先ほど表示されたアーティスト名で検索しても『取り扱いがありません』の表示。

システムの不具合が起こっている。全然使えねぇ。

「検索システムを中心にバグが出ている。おそらくデータ・ベースのインデックスの移行に失敗している。これじゃ好きな音楽にたどり着けない。早急に改善しろ」と、フィードバックしたものの、紋切り型の自動返信メールが来やがった。「フィードバックをくださってありがとう。FAQはどこそこを見て下さい。ここに問題の解決策があるかもしれません。多くの問題は3~5営業日以内に解決されます」って、バカヤローもう期限過ぎてるじゃねーか。俺は専門家の目で様々な事象を時間をかけてテストして問題を報告してやったんだぞ。そもそもこのくらいのテストも充分にせずに、顧客に『新しいページを体験しよう!』なんてメールするなんてどういうことだよ。

システムをバグだらけでWeb上に公開するでたらめな企業体質に嫌気がさし、先ほど長年の付き合いとおさらば。解約してやった。ちなみにemusicは会員数が増えた為か、現在日本からの会員契約には応じていない。つまり、システムが直っても再加入できない…

む〜、早まったか…これからどうやって好きな音楽探そう?
 

PARANOID / BLACK SABBATH (祝!再結成) [HM/HR]

2011年11月11日、ゾロ目の日にBlack Sabbathがオリジナルメンバーで再結成するという仰天ニュース。今回は以前のような記念碑的ライブの為の一時的な再結成ではなく、新作を作成するためのパーマネントな再結成らしい。なんでもっと早めに決断しなかったんだ。2006年6月6日ならもっとよかったのに。


思い起こせばフロントマン、Ozzy Osbourne脱退後のBlack Sabbathは迷走を続けていた。Ozzy脱退直後の大穴を埋めたRonie James Dio在籍時代は「Black Sabbathは生まれ変わって別のバンドになった。これはこれでありかも…」と思えたが、そのRonieもたった2作で脱退。その後はIan GillanやGlenn Hughes、Tony Martin、Ronieまでもが入れ替わり立ち替わり出たり入ったりを繰り返し、ドラマー、ベーシストも不安定な状態が続いていた。
メンバーが固定しないだけならまだよかったが、実質、Tony IommiのバンドとなったBlack Sabbathは、アプローチをその都度柔軟に変化させて来た結果、圧倒的個性を持っていた『バンド固有の音』が曖昧になってしまい、なんともおぞましきことに、現在のところスタジオ最新作となるForbiddenなるアルバムではラッパーとも競演しているらしい。

Forbidden(禁断)って、全くそのとおりだよ。ぽっと出のミクスチャーなバンドじゃあるまいし、何も大英帝国のロック界に君臨すべきBlack Sabbathがラップに歩み寄る必要なんぞねぇじゃねぇか。Mr.Darknessの名前が泣くぜ。(勿論、なかったことにして黙殺している)

と、厳しいことを言ったが、Tony Iommiも辛かったんだろうなぁ。どんどんと下降線をたどるバンドの状況を肌で感じ、ここでやめたら次が無くなってしまう、とにかくどんな形でもいいから作品は作り続けなきゃ、期が熟すのを待つのだ、って思いがあって、長年にわたり孤軍奮闘してきたんだと思う。そしてその甲斐があり、オリジナルのメンバーが再度集結し、新しい作品作りに入れたってわけだ。なんだか俺まで胸があつくなるぜ。


と、いうわけで、久しぶりに聴いてしまった。


PARANOID / BLACK SABBATH

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1970年発表、Black Sabbathの2作目にしてその評価を不動の物とした記念碑的作品。まぁ、80年代以降の迷走は置いておくとして、少なくともこの作品がBlack Sabbathの「ダークでヘヴィな」イメージを決定的にした、と言っても過言ではないと思う。

その音はと言えば、必要以上に叫ばないOzzy Osbourneのボーカルは唯一無二の存在感。時としてギターさえも上回る自由度で弾きまくるGeezer Butlerのベースと効果的にフィルを入れるBill Wardのドラムによる鉄壁のリズム隊、ぶっとい音で計算し尽くされた堅牢なフレージングを冷静に実践するTony Iommiのギター。これらが共鳴しあっていい具合の音圧になり、30年以上前の作品であるにも関らず、素晴らしいオリジナリティ。

そしてこの奇跡的なメンバーのコンビネーションから紡ぎだされる曲は、表題作にしてBlack Sabbathの代表曲、Paranoidを始め、痛烈な反戦歌War Pigs、ロック史上最も簡潔で最もヘヴィなリフのIron Man、ワウを効果的に使ったElectric Funeral、見事な構成力で聴かせるHand Of Doom等、収録されている8曲中、5曲までがロック史上に残る名曲。

この珠玉の名曲中、俺が最も好きなのはWar Pigsである。前述の通り反戦メッセージを表に出しているが、ヒッピー的ラヴ・アンド・ピースなお気楽な反戦ソングなどであろうはずもなく、社会構造の批判を含んだ内容であり、政治家や制服組の軍人を徹底的に糾弾する。この曲は実に多くのバンドがカバーし、作品化している。そして、それらの出来は大抵カッコよい(笑)。これは楽曲自体の完成度が非常に高く、また、そのメッセージ性の強さから「大好きな曲だからどうしても演りたい!でも原曲を極端に歪曲するとバチが当たる。ヘタするとファンを失いかねない…」と、慎重になるためだろう。中にはギター・ソロまでほぼ完全にコピーしてスタジオ作品に収録し、ライブでも実践するのみならずライブ盤に収録しているバンドもあったりする。




特筆すべきは、重複するが、Tony Iommiの考え抜かれた堅牢なリフ、そしてソロ。この時代のギタリストはレコーディングとステージを分けて考えている場合が多く、「ギター・ソロはインプロビゼーション」とばかりに、ステージでは自らの作品で弾いたソロのフレージングを完全無視して思いつきで弾く傾向が多々見受けられた。これはギター少年だった俺たちには非常に辛いことだった。頑張ってコピーした思い入れのあるギター・ソロを本人が弾いているところを見たくて来日公演に足を運んでいるにも関らず、当の本人がそれを実践してくれないのである。「これはキメのフレーズだから絶対にレコード通り弾いてくれるだろう」と、思ったフレーズでさえ完全スルーされることもままあり、「あんた、小節数や合図で演奏しとるんかい?俺が必死こいてコピーしたギター・ソロはあんたにとって何だったんだ?」と、何度肩すかしをくらったことか。まぁ、「ソロに入ったらあとは流れで」(笑)って感じでやってたんだろうな。

しかし、Tony Iommiのソロは違う。多少の遊びの余地は残しているようだが、多くの曲のソロのフレージングはスタジオ盤であろうとライブ盤であろうとほとんど変わらないのだ。これは、作曲時点で試行錯誤を重ね、いかに効果的なフレージングを熟慮したかを如実に示すものだ。


それにしても、Heavy Metalの礎を築いた還暦を過ぎたオヤジ達が33年ぶりに集まっての新作、どんな音になるんだろう。興味津々である。発表にあわせてワールド・ツアーもやるのかな?


頼むからあまり無理なスケジュールは組まないでね。ね?



Paranoid

Paranoid

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
  • 発売日: 1987/07/07
  • メディア: CD



Piano Music / Simon Jeffes [Ambient/New Age/Experimental]

音楽作品の主流媒体がLPからCDに移行し始まった当初から、付加価値をつける為か、CDにはボーナストラックがつきものだった。しかしながら、良く見かける『日本盤のみボーナストラック収録』と表示のあるCDは、その編集方法に工夫が全く見られない物がほとんどで、本編との区別が不可能な繋がった形で無造作に並べて収録されていたりすることが多く、この傾向は現在でもあまり変わらない。これは曲配列に注意を払って作品作りをしたアーティストにとっては非常に不本意なことだと思う。

この状況を打開する為か、一部のこだわりを持ったアーティストの中には、ボーナストラックを意表をつく方法で収録する動向が見られる。例えばNirvanaのNevermindに付加されたボーナストラックは、アルバム本編終了後、15分程度空白をおいて収録されていた。また、Nine Inch Nailsはアルバム本編終了後、空白のトラックを延々と並べ、98曲目、99曲目(CDの製品企画上、99以上トラックはつくれない)にボーナス曲を収録した。Marylin Mansonも似たような手法を使ったが、あれはボーナストラックというより、隠しトラックと言った方がしっくり来る曲(?)だった。また、Liz PhairはCDにシリアルナンバーを付与したカードを封入し、Webより1回のみボーナストラックをダウンロード出来る権利を付与するという斬新な手法をとった。ボーナストラックのみを別ディスクにするという大胆な手法もよく見られるが、その結果、単価が上がってしまうのでは本末転倒なのだけれど。

いずれにせよ、これらの工夫は、「ボーナストラックはあくまでもおまけであり、アルバムの流れを構成するものではない」という、アーティスト側のこだわりが尊重された結果だろう。

しかし、ここ数年の非常によろしくない傾向として、既発の古い作品をマスタリングし直して再発売する際、大量のボーナストラックで付加価値をつけるのがあたかも常識のようになっている。

勿論、それら全てが悪いとは言わない。例えばThe WhoのLive At The Leadsの様に、コンサートでは実際に演奏されながらも作品化するにあたって収録時間の都合で漏れてしまった曲を、媒体の収録時間が長くなった為に追加することが可能になったりした例もあるし、Uriah HeepのMagician's Birthdayの様に、2枚組の大作を作るつもりでスタジオに入っていたのに、発売元が急がせた為に1枚もので発表せざるをえなくなってしまい、本来収録するつもりでレコーディングしながらも選曲から漏れた曲を追加する、と言ったやり方をする場合もある。

こういった『既存の作品の価値を下げない』ボーナストラックの追加については賛成だが、本編に収録されている曲のデモ・バージョンや、他人が勝手にリミックスしたバージョンや、曲のアイデアをスタジオでのラフ・セッションした模様なんぞ聴かされてもなーんも有り難みなんぞないどころか、鬱陶しいだけである。

特に、「昔LPで聴いていたアルバムをCDで持っていたい」という動機で購入したのに、つまらないボーナストラックが追加されていたりすると『青春の思い出』に水を差されたような気がしてガッカリである。大作主義が多いプログレの作品においてはなにをかいわんや、絶対にやめていただきたい。組曲形式の長い曲を聞き終わって満足感に浸っている時に、意図していなかったアレンジも演奏内容も音質も悪いデモ・バージョンなどが始まると腰砕けであり、余韻もへったくれもあったもんじゃない。本編の完成度さえ下げ、リスナーの思い入れを無為なものにする暴挙である、とすら思う事がある。



ま、それはさておき。



Piano Music / Simon Jeffes

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Simon Jeffes没後6年が経過した2003年に発表されたこのCDに収録されている曲の数々は、Simon JeffesがPenguin Cafe Orchestraの主宰者として、Penguin Cafe Orchestraで実現することを視野に入れたアイデアをピアノで残しておいたものであり、これ自体を作品化することを目的に録音されたものではない。実際にPenguin Cafe Orchestraで演奏されている曲も数曲あるが、いわば『デモ・トラック集』であり、放っておいたらPenguin Cafe Orchestra作品のボーナス・トラックに流用されてしまいそうなものだが、幸いにもこうしてまとまった作品集として聴けるようになった。

故人の意思とは無関係に不完全な演奏が寄せ集められて作品の体裁になるなんて不本意なことかもしれない。俺も本来ならばこういった商売のやり方は嫌いである。また、ピアノという楽器を演奏しない(出来ない)俺にとってはこの作品集で聴かれる彼の技量がいかばかりのものかはわからない。中には中途半端にフェードアウトしている曲もある。元々Penguin Cafe Orchestraで作品化する為のアイデアを収録したものなので、全力で演奏しているわけではないだろうし、演奏技量や楽曲の完成度をこの作品の価値基準に持ってきてしまうと多分、アウトなんだと思う。

しかし、俺はこの作品に限ってはそういう不満は全くない。なぜなら、『一人ペンカフェ』と言ってしまってもいい程、Penguin Cafe Orchestraと雰囲気が良く似ており、(見方を変えればPenguin Cafe Orchestraの団員達はSimon Jeffesの意図を充分汲み取れていたということになる)独特のゆるさが聴いていて幸せな気分にさせてくれるからだ。最近はPenguin Cafe Orchestraより、こちらを聴くことの方が多い程だ。デモ・トラック集のはずなのに、生活音楽作品として最高の出来。





注意深く聴いてみると、曲によってはピアノの弦に一部手を加え(何か異物を挟む、等)、実験的なことをしているが、どう考えてもSimon JeffesがJohn Cageのプリペアド・ピアノの真似事をしたかったとは思えないので、これは多分、Japanese Piano Pieceという曲名から察するに、琴の音を真似たつもりだったのだと思う。また、数曲で女声によるスキャットやシンセサイザー等もつかわれているが、これらは実際にどのようなアンサンブルにするかをより具体的にメンバーに説明するためのものだろう。当然、一気に録音されたものでは無いはずなのだが、極端な音質のバラつきもさほど感じさせず、通して聴いていて違和感は全くない。

発売当初は入手が困難で、(多分、作品の性質上、あまり大量にプレスしなかったんだと思う)某ショップで見かけたときは狂喜乱舞し値札も見ずにカウンターに持って行き、請求金額に驚いた記憶があるが、近年再発されて入手しやすくなった。

ご存知の通り、Simon Jeffesは1997年に若くして亡くなっているが、近年、Penguin Cafe Orchestraの旧団員達が集まってコンサートを開催したようである。せっかくだからこういったSimon Jeffes存命時に作品化されなかったアイデアの数々からSimon Jeffesの意図を汲み取って、Penguin Cafe Orchestraとして作品化してくれないだろうか?切に望む。

【後日記】と、思っていたら、なんとSimon Jeffesの息子を中心に再結成し、今年、新しいアルバムも発表していたのね。ぜーんぜん知らなかった・・・


Piano Music

Piano Music

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Penguin Cafe
  • 発売日: 2011/05/10
  • メディア: CD



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